「生かす」と「活かす」・・・
公用文で使うにはどっちだっけ?
就活で履歴書に書きたいのだけれど・・・間違いたくないし。
お任せください★
あなたのその疑問、しっかり解決していきましょう。
生かす・活かすの違いとは?
ご存知の通り、どちらも『いかす』と読みますが、言葉の意味はどのように違うのでしょうか。
まず、両方の言葉が持つ同じ意味としては・・・
- 死にかけたものを生き返らせる。よみがえらせる。
- 死なないように命を保たせる
- 様々な命や事柄を有効に使う
このように、どちらも命や生き方・生かし方に関して前向きな意味を持ちます。
ではそれぞれの違いについて簡単に説明していきますね。
生かす
- 常用漢字である
- 新聞や雑誌などの公文書で使われる(ほとんどの場合こちらに統一されている)
- 対象の命が尽きるまでの間という意味で使われる事が多い
- 漢字そのものの概念が広く様々な感情として使われる
- 生命体を対象とする事が多い
活かす
- 常用漢字ではない(常用漢字表には「イ・カス」の読み方では載っていない)
- その対象の輝きや生き様が無くなるまでの間という意味で使われる事が多い
- 何かを対象としたときに感じる、ある種のニュアンスとして使用される
- 必ずしも生命体が対象と限らない
いかがですか?なんとなく雰囲気はつかめましたか?
常用漢字の観点から、公用文の場合は、
「生かす」を使うのが一般的であるということがわかりましたね。
では履歴書でも「生かす」を使うべきなのか?
もう少しわかりやすく、例文を交えて見ていきましょう。
『生かす』はどんな時に使う?例文を紹介
ここでは、『生』という漢字について補足していきます。
この漢字に含まれる意味を知っておくことで、”生かす”という言葉の使い道が広がります。
新しいものを作り出す/命を保つ
生殖・出生・誕生・再生など
例:この新しく生まれた命を生かす努力をする
いのちそのものを指す
生死・生存・生物・生体など
例:地上ではすべての存在がお互いを生かし合っている
例:生物を生かすために必要な準備がある
いのちそのものを指す
野生・寄生など
例:野生の動物は環境や自然によって生かされている
いのちそのものを指す
生業・人生・終生など
例:人生とはその人の力を生かすことによって作られていく
人/学習する人
生徒・学生・書生
例:学生は学んだすべての知識を生かして次の勉強へと進む
なま/新鮮
生魚・生鮮など
例:食べ物は新鮮な方がおいしいのでなるべく生かして持って帰ろう
動植物を死なせないように、生き続けるようにする
生け花・生け簀
例:生け簀(いけす)とは魚を新鮮な状態に保つことが出来、生かしておける場所である
また、前後の文章を組み合わせる事で反語としても使用できます。
- 死んでしまったものを生き返らせることはできない
- 釣った魚も水がないと生かしておけない
- 見られたからには生かしては帰さない
これらのように、命そのものが対象になる事が多く、
ありとあらゆる生命体を対象に出来ます。
また、生きがいや生命などの目に見えないものにも使われますが、
感情に関する対象よりも物体を示す言葉によく使われます。
『活かす』はどんな時に使う?例文を紹介
ここでは、『活』という漢字について、例文とともに補足していきます。
いきいきとしている/勢いよく動く
活気・活況・活発・活躍など
例:俊敏なその動きは必ず活かされる
例:自分の個性や力を存分に活かす
いきる事/暮らす事
生活・死活・自活・復活など
例:すべての動物は自然の力を活かしている
例:素材を活かして調理する
例:輝かしい未来を活きるために今努力する
自由に動く/固定していない事
活水・活字など
例:この川の流れを活かして何かできないだろうか
いかす/役立てる
活用など
例:その知識を活かせばすごい事が出来る
例:貴重な体験を活かす事は必然だ
例:この出汁が素材の味を活かすのだ
気絶した人の意識を取り戻す方法
活を入れる
例:気の流れを活かして、病気を治す方法があるらしい
このように対象の幅は大きいですが、何かしらの生命であったり、物体や人が持つ感情や知識、目に見えない五感や特殊な物に対しても使用する事があります。
特に、自身が努力した事や蓄えた知識、練習した内容を踏まえる場合は「活かす」を使用する事が多いです。
つまり、就活で履歴書などに、「学生時代のクラブ活動をイカシテ・・・」など書く場合は、「活かして」が一般的だと言えます。
最後に
それぞれの言葉は同じ意味も持ちますが、どちらも漢字1字でみると違う意味を持っている事が分かりますね。
もし使い道に迷ったら、漢字そのものの意味を思い出してください。
公文書などの一般社会で用いる場合は常用漢字が使われますが、個人で文章を書く時などは、それぞれの漢字の意味を考えて、しっくりくる方を使ってもまったく問題はありません。
どちらの言葉がその時の気持ちに沿うか、という事を意識すると良いかと思います。