火傷(やけど)して、とっさに氷を持ち出してきたことありませんか?
「何か冷たいものを当てなきゃ!」と焦り、「水よりは断然、氷の方が良いでしょ!」という判断をしてしまう。
以前の私もそうでしたが…どうやらそれは大間違いだったようです。
ここでは火傷の応急処置に氷を使用してはいけない理由について、また正しい処置方法と、火傷に効くと言われる市販薬も紹介していきます。
火傷の応急処置に氷はNG!その理由
【火傷の応急処置=すぐに冷やす】
この方式は、ほとんどの方がご存知でしょう。
同時に、せっかく冷やすなら、水よりも氷の方が冷たいから効果があるはず!と思われている方も多いことでしょう。
ですが、それは間違いで、
火傷の応急処置の大前提は【水道水で冷やすこと】なのです。
その理由は、水は温度が『冷たすぎないから』。
逆に氷は、【冷やしすぎて凍傷を起こすリスク】があるのです。
やけどに氷がNGな理由!その①『低体温』
火傷の重症度によっても異なりますが、1年で特に寒い冬場は、体温調節機能がただでさえ出来にくくなっています。
氷を使用しての処置を行うことで、場合によっては更に全身が冷やされ、【低体温】が起きて神経までをも麻痺させてしまう恐れがあるのです。
軽い火傷だったはずなのが、「意識を失う」と言ったことになりかねないのだそう。
そんな例は極端すぎるよ…と思われるかもしれませんが、いざという時のために知識として知っておく必要があります。
やけどに氷がNGな理由!その②『皮膚と氷が貼りつく』
火傷に氷がNGな理由がもう一つあります。
それは、急激に冷やすことによって、氷が患部に張り付いてしまうというリスク。
患部を氷で冷やそうと当てると…患部の皮膚と氷がはりついてしまうことがあります。
これを無理矢理剝がすことによって、患部の皮膚表面に損傷を与えて細菌が侵入し、状態がさらに悪化するという事態も考えられるからなのです。
更には、火傷した患部の皮膚は通常時よりも弱くなっていますので、場合によっては氷を剥がした際に、皮膚も一緒にベロン…なんてこともありえるのです。
こちらはなんとなく想像しやすいですよね。想像したくはないですが…。
皮膚表面に損傷を与えてしまった場合、時間が経っても火傷の跡が残ってしまうというのも大きなリスクになります。
やけどの正しい応急処置!その方法は?
上でもお話ししましたが、重症度を問わず言える処置方法としては、火傷をおってしまったらすぐに水で冷やすことです。
速やかに水で冷やすことにより、以下の効果が期待できます。
- 火傷の深さ、進行を食い止めることが出来る
- 火傷の痛みを緩和させる
- 火傷の跡が残りにくくなる
衣服の上から火傷を負った場合
もし衣服の上から火傷をおった場合は、脱がずに衣服の上から冷やすようにして下さい。
(氷同様、衣服が患部に張り付いて、無理に脱ぐことにより皮膚が剥がれる恐れがあります)
しかし、腕時計など装飾品を付けている場合は、万が一、患部が腫れた際に取れなくなる可能性がありますので、すぐに外します。
火傷の程度別の応急処置・対処法
1度熱傷
一番軽症の火傷で、患部の表面がヒリヒリする程度です。日焼けもこの分類に入ります。
この場合は、速やかに水道水を出しっぱなし状態で患部を冷やし、痛みが治まってから、念のために医療機関を受診するのが良いでしょう。
2度熱傷
二度熱傷には2種類あります。
- 浅達性2度熱傷:表皮基底層まで損傷し、強い痛みと赤い腫れ、水膨れが生じます。
- 深達性2度熱傷:真皮深層まで損傷し、赤い腫れと水膨れは生じますが、痛みはさほど強くはありません。水膨れの下の皮膚が白く変色します。
この場合の最大の処置方法は【水膨れを破らないこと】です。
水膨れは患部を守る働きをしてくれています。
水膨れが出来てしまったら、極力患部には触れないように冷やし、医療機関を受診してください。
3度熱傷
最も重症で、皮膚全ての層が損傷します。
感覚が無くなる為、痛みはほぼ感じませんし水膨れも出来ません。
白色に変色したり、焦げたような色に変色したりし、肌の表面が壊滅します。
患部は赤く盛り上がり、機能障害、最悪は命の危険もあります。
この場合は、とにかく直ちに119番通報です。
水で冷やす以外の処置方法は絶対にしないで下さい。薬もNGです!!
患部の場所ごとの処置方法
続いて、患部の場所ごとの処置方法を簡単にご紹介します。
手足の場合
水道水を出しっぱなしにして、しばらく冷やし続けます。
顔や頭の場合
冷水シャワーで流し続けます。
シャワーが使用出来ない場合は、氷水で冷やしたタオルを当てます。
目や耳の場合
保冷剤や氷を包んだタオルを、まめに変えて冷やします。
全身(広範囲)の場合
水を溜めた浴槽につかるか、水で冷やしたバスタオルなどにくるまります。
(全身なので、低体温にならない程度に!)
火傷の際の冷却時間と温度
患部の重症度によって5分~30分程度。
軽度なら、痛みが引いたら冷却をやめても大丈夫です。
冷却温度は、10度~15度程度が良しとされています。
火傷の効果のある市販薬は?
まず、市販薬にも2種類あります。
副作用が無く、肌に優しい非ステロイド剤と、副作用のリスクがあるけれど(医師や薬剤師の指示を守っていれば基本は大丈夫)即効性が期待できるステロイド薬。
それぞれ分けて紹介します。
非ステロイド剤
CMでもお馴染み、「火傷といえば!」と言ったところでしょうか。
患部が化膿するのを防ぎ、皮膚が弱い子供も使用することが出来る安心な軟膏です。
その名の通り、紫色の独特な色をした軟膏です。
漢方薬の一種で、低刺激ながらも治癒力がしっかりある軟膏です。[/su_service][/su_note]
ステロイド剤
炎症や痒みを抑える効果が期待でき、速乾性があるのでベタベタしないのが良いですね。
火傷の炎症を抑える効果が期待でき、保護力にも優れています。
いずれも、薬局で比較的簡単に手に入りやすいものですので、自分に合った用途の薬を使用してください。
ですが、これはあくまでも軽傷の場合のみです。
特に市販薬の場合は、病院で処方されるお薬ほどの効果はありませんので、痛みがなかなかひかない場合などは、市販薬を考える前に皮膚科等を受診されることをおすすめします。
さいごに
気をつけているつもりでも、少しの油断が火傷につながることってありますよね。
そんな時はまず、「氷ではなく流水で冷やす!」ということを覚えておいてください。
これが跡を残さないための最善策。
そして痛みが引かない…患部表面の悪化など、気になることがあれば、少々面倒であっても皮膚科を受診されてくださいね。