誰でも一度は聞いたことがあるでしょう。
『じゃがいもの芽は毒』だと。
じゃがいもの芽って、しばらく放置しておくと、気付いた時にはあちこちのくぼみから出てきてしまいますよね。
- 少し芽が出るだけでもう食べてはいけないのでしょうか?
- 芽の部分を上手く取ってもダメなのでしょうか?
- 加熱しても毒は消えないのでしょうか?
そんなじゃがいもの芽の危険性や対策方法を紹介したいと思います。
じゃがいもの芽の毒!具体的にどんなもの?加熱でも無理?
そもそもじゃがいもには天然毒素が含まれていて、名前は『αソラニン』『αチャコニン(カコニンとも言う)』を主な成分とした『アルカノイド』の一種です。
その成分は、芽の部分・その根元・緑色になっているところに多く、未熟で小さいものにも多く含まれますので、家庭菜園などの場合は特に注意ですね。
★上記の事例をひとつ挙げたいと思います。
小学校の調理実習で、天然毒素を原因とする食中毒が毎年のように起きています。
小学校で栽培された野菜を使って調理実習をする。
良くある授業の一つですね。
子ども達が育てた野菜、それはとても意味のある授業かも知れませんが、野菜に詳しくない子ども達や先生は、じゃがいもの毒素のことを詳しく知っているのでしょうか?
<2013年6月11日>
大阪市内の小学校で調理実習を行ったところ、じゃがいもを食べた24名のうち4名に腹痛・下痢・吐き気などの症状が。
残ったものを分析した結果、100gあたり平均0.05gの毒素が検出されました。
たった0.05gかも知れませんが、子ども達にとっては強い毒となってしまったのです。
アルカノイドは、熱に強く茹でたくらいの加熱では分解できません。
芽と、その根元を取り除くこと・緑の部分は、皮だけでなくそのまわりの実も厚めにむくことで、少しでも毒素を取り除きましょう。
また毒素の一部は水に溶けだす性質があるので、皮をむいた後、水に浸すと多少でも減らすことが出来ます。
わたし自身、母から『じゃがいもは水に浸してアクを取ると良い』と教わっていましたが、昔の人は化学的な知識がなくても、身を守るための方法を編み出していたのだな…とつくづく思いました。
皮ごと茹でたり調理する場合も、食べる時は皮をむく事をお勧めします。
また、170℃以上で揚げると分解されて毒素の量は減りますが、緑色の部分は毒素が残ったままで、食中毒を起こした例があります。
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じゃがいもの芽を食べたらどうなる?その症状は?
じゃがいもの芽を大量に摂取するということは現実的ではありませんが、ここでは大量に毒素を摂取した時に起きる症状をいくつか紹介します。
・吐き気・嘔吐・腹痛・下痢
・めまい・頭痛
・けいれん・昏倒・意識不明
・幻覚症状
上記の症状がひどくなった場合、死亡する事もあります。
『芽の毒は死亡するほどではない』などと聞くこともありますが、それは健康な大人だけだと思ってください。
少なくとも毒素が原因での事故報告がありますので、油断しないで欲しいのです。
★こちらもひとつ事例を挙げたいと思います。
1918年、スコットランドのグラスゴーでは、じゃがいもを食べた61人が頭痛・嘔吐・下痢に見舞われ、そのうち5歳の少年がひどい嘔吐の後、腹部の血が止まって最悪の事態に。
このような中毒の事例は他にもあり、
心不全や内臓の肥大の末・・・、
呼吸器系の発作で・・・
など絶対に甘く見てはいけないのです!
また症状は、食べてすぐ発症する場合もあれば、数日後に出る事もあり、
数日後に出た場合は『じゃがいもの芽が原因かも?』と気づけない場合もあります。
食べてしまっても明確な対処方法は無く、症状が出た場合、その症状に合わせた治療が行われます。
芽は全く美味しくないので、好き好んで食べる事はほとんどないと思いますし、
間違えて少し体内に入ってしまったところで、すぐに命にかかわる事はあまりありません。
けれど万が一、『芽の部分を大量に食べてしまった』『緑の部分を大量に食べてしまった』という場合や、
『小さい子ども』や『免疫・体の毒素を排除する機能が衰えている方』の体内に入ってしまった場合で、なんらかの症状が出たときはすぐに病院へ行ってくださいね。
じゃがいもの保存期間とその方法
ソラニンやチャコニンはじゃがいもだけでなく、ナス科の植物であるツルナスやイヌホオズキなどにも含まれます。
どうして天然植物が有害物質を含んでしまうかというと、野生のイモ達は栄養を地下の茎に溜め込み繁殖しますが、その際、動物などに食べられてしまわないように有害物質を含むようになったという話があります。
日に当たる事で毒素を増やして強めていくので、暗くて涼しい場所に保管する事が対策になります。
土や汚れで色が判断しにくい時など、迷った場合は食べない方が無難です。
また、じゃがいもの芽の生育を抑えてくれる『エチレンガス』という物質があります。
これはリンゴの成分として知られていて、リンゴと一緒に保存すると芽が出にくくなります!
長期間放置してシワシワになったリンゴではなく、新鮮なリンゴを置いてくださいね。
じゃがいものすぐそばに置くことで、効果を発揮します。
ちなみに、冷蔵保存をする必要はありません。
冷蔵保存をしたじゃがいもは、でん粉の一部が糖に変わり、このじゃがいもを高温で揚げたりすると、
含まれている糖とアミノ酸が反応して『アクリルアミド』という化学物質に変化します。
これは発ガン性を持つと考えられているので、フライドポテトなどを作る時は冷蔵されていないじゃがいもを使うことをおすすめします。
単に冷蔵保存されていた、というだけなら危険性はありませんし、煮たり蒸したりしてもアクリルアミドはできないので安心してください。
最後に
じゃがいものように使いやすい野菜は、ついつい買いだめてしまう事も多いですよね。
けれど、そのせいで体調を崩してしまっては、元も子もありません。
もし家族や周りのお友達がじゃがいもの芽の怖さを甘く見ていたら、、、その危険性をぜひ教えてあげてくださいね。
食事は健康な体つくりの基本ですから、正しい知識を持って安全に食べたいものです。