話し言葉としても、文章を創る際にも出番の多い『コエル』という言葉ですが、
漢字で表す時に迷わずに書くことが出来ますか?
超える!・・・越える?
ちょっと迷いますよね。
あれ?どっちだっけ?・・・と。
『超える・越える』は異字同訓(異なる漢字でありながら、意味の近い語が訓で読む時同じ読み方をする事)ですので、
前後の文章やその対象に合わせて使い分ける必要があります。
今回は、「超える」と「越える」の違いについて、例文を交えながら、使い分け方を紹介していきますね。
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「超える」と「越える」の違いと使い分け
この2つはどちらもコエルと読み、2つの漢字を合わせた熟語『超越』という言葉もありますね。
かなりの部分で同じ意味、もしくは似た意味として使われるため、ややこしく混同しちゃう漢字です。
ただ対象によって使い分けができる漢字ですので、覚えておくと良い事柄を紹介します。
[su_box title=”超える” style=”noise” box_color=”#92650a”]
- 基準や限度を対象に考え、そこから上回る事を指す
- ある一定の規模/範囲より上にいく事。過ぎた状態
- 数値など大小の関係や標準値などの基準がある
- 目に見えない物(抽象的なもの)が対象である事が多い
- 比喩的に用いる事が出来る
- 他のものやほかの対象に比べて抜き出ている事
- 規則や決まりから外れていく事
[/su_box]
[su_box title=”越える” style=”noise” box_color=”#92650a”]
- 距離や長さ、時の経過、移り変わりが対象となる
- 物理的な表現にも使われる
- 大小など基準や標準値に関係なく使われる
- 目に見える(感じる事が出来る)ものも多く、境界や物、妨げとなる対象が多い
- 権利が対象となる場合は比喩的に使用される場合がある
- 他の動詞と複合的に使用される…繰り越す・飛び越える・乗り越える・勝ち越すなど
- 名詞に変化する…繰り越し・貸し越し・勝ち越し・持ち越しなど
[/su_box]
なんとなく雰囲気はつかめたでしょうか?
次からもう少し詳しくみていきます。
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『超える』はどんな時に使う?例文も
『超』という単語の意味も含め、例文とともに紹介します。
基準や限界などのある範囲を上回る、超過する事
(超過・超人・入超など)
- 予算の枠を超えてしまった
- 百万円を超える損害が出た
- 人間の理解を超えた現象が起きる
- ついに人類は○○億人を超えてしまった
程度が甚だしい事。非常に優れている事柄。かけ離れている事
(超越・超絶・超俗・超脱・超凡など)
- 先人を超えた業績を残す
- この偉業を超えるためにはどんな苦労も耐えてみせる
- 想像を超えた出来事で混乱している
- 常識を超えていて理解できない。
極端に並みはずれた事柄
(超高速・超満員・超国家主義など)
- あのタイムが超高速過ぎて、私には超える事が出来ない
『越える』はどんな時に使う?例文も
『越』の単語の意味も含め、例文とともに紹介します。
境界線や範囲、障害や限界となっているところを通りこす/のりこえる
(越境・越年など)
- 野を越え山を越え目的地を目指す
- 今日も峠を越えなければ家まで帰れない
- 柵を越えて学校へ行く
- 国境を越えると故郷が見えてくる
- 今年も冬を越える事が出来た
- この町を引っ越しする
- 幾多の障害を乗り越えて婚約する
ある時期を経過する事
- 越えて正月三日
- 父の病気が峠を越えて一安心だ
基準に関係なく、そこから外れてしまい、別の領域に入る事。標準をこえる事。他から抜きんでる、または優れる事
(卓越・超越・優越など)
- 派閥を越えた発言をする
- 越えがたい壁にぶつかった
- 素人の域を越えた作品だ
順を追わず、ある段階・対象・限度・秩序などを飛ばして先に進む事。分をこす事
(越権・越度(おちど)・越階(えつかい)・越訴(えつそ)など)
- 先輩を越えて昇進した
ちなみに同じ文章でも、その時の状況、もしくは主義や立場に応じて、漢字が変化する場合もあるので少し例を紹介します。
例: 利害をコエテ一致する
利害関係といえる、一方と一方の間にある、見えない障害を取り払う比喩だとして考える場合は【越えて】となります。
一方で、標準用字用例辞典や記者ハンドブックなどの用字用語辞典では【超えて】という考え方が主立っています。
これでは、もはや見る人/書く人の主観になってしまいますね。
また、数量に対して『超える』を使い、それ以外は『越える』を使うという説もありますが、
それは『越える』という言葉が数量には使われない事から考えられています。
さいごに
これらから分かるように、意味自体は分かりやすくたくさんの場面で登場する言葉ですが、
その反面、漢字に変換しようとすると非常に曖昧です。
判断材料が1つの対象だけでなく、その前後の文面やその時の状況などを含むことが多い為、ややこしい言葉となっています。
上でも紹介したように、「数量に対して・・・」という考え方が一番簡単かと思いますが、
本当に正しく使うには、じっくりとその文章と向き合い、背景を思い浮かべながら当てはめていくということになりそうですね。
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